女性の場合、更年期と呼ばれる閉経前後の時期、およそ10年間は様々な症状が現れてきます。
のぼせ(ホットフラッシュ)・冷え・肩こり・気分のおちこみ・イライラなど、現れる症状は千差万別で、また個人差もあるようです。
そして今回取り上げる「頭痛」もまた、多くの更年期の女性に現れる代表的なもののひとつです。
今回は更年期の頭痛の正体と対策をご紹介していきたいと思います。
更年期に起こりやすい頭痛のタイプ
更年期に現れる頭痛は2種類、「緊張性頭痛」と「片頭痛」です。
どのような症状がある頭痛なのか見ていきましょう。
緊張型頭痛
緊張型頭痛は、頭全体が締め付けられるような鈍い痛みが続きます。
わりと短時間で過ぎることもありますが、1週間続くという方もおられます。
この痛みはよく「孫悟空の頭の輪」で締め付けられるようとか、ヘルメットをかぶっているというように表現されます。
激しい頭痛ではないため、頭痛を感じてもそのまま仕事や家事をつづけることも多いです。
同じ姿勢をとっていると起きることもあります。
また、精神的ストレスや、睡眠不足、運動不足とも関連していると考えられています。
- 頭が締め付けられるような痛み
- 肩こりもする
- 寝込むほどの痛みではない
- 動作で痛みが変わらない
- 吐き気や嘔吐はない
片頭痛
片頭痛は頭の片側がズキンズキンと脈を打つような痛みが特徴です。
光や音に敏感になったり、吐き気を伴うこともある頭痛です。
緊張型頭痛より、この片頭痛の方が多いようです。
エストロゲンの分泌と関係があると言われていますので、月経時に片頭痛を感じる女性もいます。
なので片頭痛はエストロゲンが減少した閉経後は少なくなるようです。
代表的な特徴の一つに、頭痛が現れる前にキラキラした(あるいはチカチカした)光や点、これを閃輝暗点と言いますが、片頭痛の15%程度はこの予兆を感じていると言われます。
- 頭の片側だけが痛む
- ズキンズキンと脈を打ったような痛み
- 頭痛の前にチカチカした光や点などが見えた
- 悪心・吐き気・嘔吐を伴うことがある
- 体の動作で痛みが悪化する
片頭痛(偏頭痛)と女性ホルモン(エストロゲン)の関係
更年期症状の一つとして多くの女性を悩ませている頭痛。
今回はその頭痛の中でも「片頭痛(偏頭痛)」に焦点を当ててお話したいと思います。
片頭痛は女性に多い頭痛として知られ、その理由として女性ホルモンの一つであるエストロゲンとの関係が指摘されています。
まずは片頭痛(偏頭痛)の症状からご説明いたします。
片頭痛(偏頭痛)の症状
片頭痛の症状は次のような症状です。
症状はひどいときでは、学校や仕事を休んでしまうくらい痛むことがあります。
- 頭の片側の痛み
- ズキンズキンと脈を打つような痛み
- 動くと痛みがひどくなる
- キラキラと光る点や線が見えたり、視野が欠けたりする予兆がある
- 光や音に敏感になる
- 悪心や吐き気を伴うときがある
片頭痛(偏頭痛)と女性ホルモン(エストロゲン)
月経時や排卵日は女性ホルモンのエストロゲンの血中濃度が急減します。このエストロゲンの濃度の落差が片頭痛発症の引き金になると考えられています。
月経時
月経時に片頭痛を起こしやすかった女性は、女性ホルモン(エストロゲン)がほぼ出なくなる閉経後は頭痛の頻度が減ったり、頭痛があっても症状の程度が軽い傾向のようです。
更年期
けれど、更年期の間はエストロゲンの値が不安定なため、頻度が増えることがあります。
※更年期とは閉経を挟んで5年、合計10年の期間を言います。
妊娠中
このように、エストロゲンと片頭痛は関連しているため、妊娠中のエストロゲンの分泌が高めの状態が安定して続く状態では片頭痛は起こりにくいとされています。
セロトニン
片頭痛の引き起こす原因としてセロトニンにあるいう説があります。
セロトニンが関与し、頭蓋内外の血管が過度に拡張する事が原因で起こるというものです。
ストレスや飲酒、過労、睡眠不足など、頭痛の原因として挙げられる外的要因(刺激)が誘因となって、頭の血管が膨張します。
血管が収縮したあと、セロトニンは急激に減少して、再度頭の血管が拡張。
血管透過性が亢進し、血液の成分がしみ出して、血管壁に炎症・浮腫炎症が起こります。
この炎症は刺激となって、血管のまわりをとりまく三叉神経を通って脳に伝わり「痛み」として認識されます。
片頭痛(偏頭痛)を引き起こすもの
女性ホルモンと関連するもの以外BUT 片頭痛を引き起こすものは、いくつかあります。
食べ物の中ではチョコレートや赤ワインなどが代表的です。
血管を拡張・収縮させるポリフェノールやチラミンは、オリーブオイル、チーズ、赤ワイン、ハム・サラミなどイタリア料理には多く含まれ、和食には少ない傾向があります。
また、寝不足や寝すぎといった睡眠に関連するものが原因になることも多く、自分の片頭痛が何によるものかを探るのが、解決の第一歩に繋がります。
- 月経
月経前症候群や月経時に現れることも - 更年期
肩や首のこりが頭痛の前兆として起きることも多い - 食べ物
チョコレート・チーズ・ハム・ソーセージ・ナッツなど - アルコール
赤ワイン・ビールなど - 寝不足・寝すぎ
寝不足よりも寝過ぎたときに起きることが多い
- 光や音などの刺激
パソコンやスマホの光も - 環境の変化
気圧の変化・人ごみ・気温の変化など - 歯の噛み合わせなど、歯の不備
片頭痛は歯の神経の炎症(歯髄炎)と似ている
- 遺伝
脳の感受性の高さに関連する遺伝的素因がある
- ストレス
ストレスなどにより頭の血管を取り巻く三叉神経が刺激されて炎症を起こすことにより痛みを感じる
脳の見る機能に関係した部分の血管が一時的に痙攣をおこして、血流が悪くなるためにこの症状が現れると考えられています。

辛い片頭痛(偏頭痛)を乗り切るには
片頭痛に悩まされていて、原因を探りたい方は片頭痛を起こした日を手帖に記録してみると、何が頭痛の原因になっているかを発見できるでしょう。
片頭痛の原因になっているものが分れば、片頭痛そのものを避けることができますが、どうしても起きてしまった時は諦めて安静にして嵐が過ぎるのを待つことです。
鎮痛剤
片頭痛には鎮痛剤が効果がありますので、無理をせずに飲んでしまうことです。
市販の鎮痛薬で痛みが緩和されるのであれば心配はありません。
ただし、一月に10日以上も飲むのであれば薬物乱用頭痛を引き起こしたり、胃や腎臓に負担をかけますので注意しましょう。
安静
薬を飲むことに抵抗がある方は、片頭痛の症状が襲ってきたら、暗めそして静かな部屋で安静にする、できれば寝てしまう。頭やこめかみを冷やすのが効果的です。
カフェイン
また、カフェインは血管を収縮する作用があるので、痛み出しそうなのがわかったときにお茶やコーヒーなどを飲むのがおすすめです。
頭痛外来
心配であれば頭痛外来という診療をしている病院に相談してみましょう。
片頭痛の治療薬としてトリプタンという薬があります。
片頭痛と思っていたら、違う病気だったということもありますので、いつもと違うと感じたらぜひ医療機関に相談してみることです。
更年期障害とエストロゲン
更年期障害では、不定愁訴と呼ばれる色々な症状が起きてきます。
女性ホルモンのエストロゲンは、
- 排卵を促し出産の準備
- 自律神経の調節
- 骨密度維持
- セロトニンの合成促進
など様々な働きをしています。
そのため更年期になりエストロゲンの分泌量が減少すると、ホットフラシュや頭痛などの一般的な更年期障害の症状の他に、心の不調を訴える人が多くなります。
セロトニンの生成低下
症状としては、理由が見当たらないのに漠然とした不安感が湧きあがったり、うつ気分になったり、何もしたくなくなるなどがあります。
酷くなると寝たきり状態になったり、自殺を考える人もいます。
これはエストロゲン低下に伴う自律神経の乱れと、神経伝導物質であるセロトニンの生成が低下するためと考えらえています。
ただ更年期障害によるものか、本当のうつ病なのか区別がしにくいため注意が必要です。
年齢的に更年期で心の不調や不定愁訴がある時は、迷わず婦人科で診察やホルモン検査をして貰い治療する事が大切です。
更年期障害と関わりの深いエストロゲンとは
更年期サプリなどで度々目にする機会も多い「エストロゲン」と呼ばれる成分ですが、これは女性ホルモンの一つで別名卵胞ホルモンとも呼ばれています。
女性らしい丸みのある体を作ったり、卵胞の成熟を促し、子宮内膜を厚くする役割を果たしています。
そのほかにも自律神経の働きを整えたり、骨の形成を促すなどの働きをしますが、エストロゲンの分泌量は加齢と共に減少していくため、更年期でイライラやめまいなどの症状が気になり始めたら更年期サプリを利用して身体の調子を整えると良いのです。
特に閉経が近づくと急激に減少してしまうため、不調を感じたら更年期サプリを利用するのがおすすめです。
近頃は市販でも沢山の更年期サプリが販売されているため、エストロゲンをはじめとする様々な有効成分が配合されています。
女性だけではなく、男性にとっても必要な成分であるため、加齢によって身体の調子が悪い時には女性でも男性でも同じように活用するのがおすすめです。
これってうつ?精神面の影響
閉経時期になる45歳~55歳あたりに起こりやすい更年期障害ですが、様々な症状が起きやすくなります。
頭痛や肩こり、ほてりやのぼせ、冷えなどといった症状により体調が崩れやすくなります。
また、体調面だけでなく精神面にも変化が起こることが多く、不安を感じやすくなったり、寂しさや突然涙が出るようなこともあり、これらの変化も更年期障害の症状に当てはまります。
閉経時期になることで、女性ホルモンの分泌量が減少していくことで自律神経が乱れてしまうため、様々な症状が出やすくなってしまうのですが、それらの症状により、ストレスが増えたり不安になることでうつ病の可能性も高まります。
うつ病の症状と更年期障害の症状は似ていて、判断しにくいですが、あまりにも辛い症状が続くようであれば、早めに病院へ行き、医師に相談しましょう。
相談することで、不安感が解消されたり、ホルモン補充療法により更年期障害を改善へと導いてくれるため、精神面にも影響が出て、日常生活に大きく影響が出る場合は、そのままにしておかずに家族に相談をしたり、病院へ行って原因を知ることも大切です。
更年期の頭痛の原因
昔の漫画で、中年女性がこめかみに膏薬を張り付けている表現がありました(これを知ってるのはそれなりの年齢かも)。
あれは中年女性は頭痛持ちの人が多いことを表しているかと思います。
そもそも頭痛は男性よりも女性が多いのですが、それは女性ホルモンであるエストロゲンに関係しているといわれているからです。
頭痛の起こるタイミングを見ると、女性ホルモンの量が変化するときと重なります。
月経や閉経時期がまさにそうです。
この仕組みは女性ホルモンが減ると、脳内のセロトニンが減少します。
セロトニンは血管収縮のコントロールや痛みの抑制作用を持つ物質であるため、セロトニンが減ると痛みに過敏な状態になり、頭痛がおこりやすくなると考えられています。
深刻な頭痛
たかが頭痛と侮ると大変なことになる頭痛もあります。
頭痛には、くも膜下出血や脳梗塞など脳の病気が隠されている場合があります。
しかもこれらの病気はちょうど更年期過ぎから増える病気なので
「たかが頭痛」と甘く見ないで、いつもと違うと感じたら医療機関にすぐ相談を。
こんなときは頭痛外来、脳神経科がある病院を訪れましょう。
更年期の頭痛の対処方法
更年期に起きやすい頭痛は「緊張型頭痛」と「片頭痛」。
この2種類の頭痛の対処方法はまるで真逆なので、まず自分の頭痛がどちらかか明白にしておいてから対処した方が良いでしょう。
緊張型頭痛の対処方法
緊張型頭痛の場合は、ストレスなど精神的な緊張、または同じ姿勢を続けていることによる肉体的な緊張が原因なので、マッサージやストレッチ、首や肩を軽く動かすなどして、血行を促すようにするのが効果的です。
片頭痛の対処方法
片頭痛がしたら、できるだけ安静に薄暗い静かな部屋で過ごすようにしましょう。
このとき、頭やこめかみや首筋などを冷やすのも効果的です。
注意したいのは冷却シートは名称は「冷却」ですが、体を冷やす効果はありません。(ただしリラックスするアロマ的な意味があるので無意味ではありません)
よく入浴やマッサージは頭痛を和らげると言いますが、これは緊張型頭痛の場合です。
片頭痛では逆効果ですので行わないうように注意しましょう。
片頭痛は睡眠不足が誘発することもありますので、最低でも6時間の睡眠時間は確保しましょう。ただし、8時間以上の寝すぎもまた片頭痛を誘発してしまうので注意しましょう。
更年期症状を楽にするためにできること
この時期は子供の進学や就職、夫の定年、親の介護、仕事の負担など、生活の中で負担がかかる時期でもあり、ストレスが溜まりやすいことも多いものです。
なかなかリラックスできにくいことも多いですが、散歩に出かけたり、お風呂にゆったり浸かったり、好きな音楽をかけるなど、意識してリラックスすることも大切です。
食事
片頭痛があるときはアルコールやカフェインの摂取を控えましょう。
特に赤ワインやビールは頭痛を誘発しますので注意しましょう。
更年期の女性ホルモンの変化が原因の頭痛は、日ごろからイソフラボンを含んだ大豆製品を多く摂ると良いでしょう。
運動
日ごろからデスクワークや運転など同じ姿勢を続けがちな人は、トイレ休憩などのときに、伸びやストレッチをしたり、意識してちょこちょこ身体を動かす癖をつけると頭痛に悩まされることが減りますよ。
ヨガやウォーキングを中心とした有酸素運動でも体を動かし、ストレスも軽減されることから頭痛を未然に防ぐ効果があります。
薬やサプリ
更年期障害を和らげるものとして毎日の食事では得られない栄養素をサプリメントで補うのがおすすめです。
辛い更年期症状に対処するサプリメントは多くありますが、ご自分にあった商品を選び、価格も含めて継続して飲んでいきたいものですね。